今日は食文化と日本人という観点からTPPと農業を書きたいなと思います。

まず第一に私の世代(現在36歳)でもそうですけど、給食に「パンと牛乳」が定番だったのは覚えておられますでしょうか？

ご飯は多分、だいたい週に一回くらい？であとはパンと牛乳と惣菜が2～3品だったと思います。

実はこれ、戦後のアメリカの「小麦輸出戦略」の遺物だったりします。

大雑把に書きますと、戦後の日本において食料は不足しておりまして、それに対してアメリカの支援があり、そこまでは慈悲的な行為だったのだと思います。

ただその後アメリカ国内では、戦争によって過剰生産されていた小麦の行き場に困ってしまいます。

そこでアメリカは一計を案じるわけですね。

「日本の食文化をアメリカンナイズしたら、小麦の輸出先に困らないじゃないか」

1,080円

Amazon

幾つかの記事を探ってみると、上記の本が詳しく書かれているようです。

実際に「栄養改善運動」というものが全国的に展開され、キッチンカーが2万会場を回り、給食は牛乳とパンが定番となり、めでたく減反政策までの流れに行き着くわけですね。全然めでたくありませんけど。

まぁ裏事情としては、アメリカが「小麦で儲けた分は、軍事費にまわしなさーい！」とか「ある時払いでいいですよー」とかありまして、当時の日本政府としても飲まざるを得なかった、と言うのは理解できます。

このように日本人の大衆食文化というのは、アメリカの戦略的に「変えさせられてきた」という事実の認識は必要かと思います。

そして「箸もまともに使えない総理」の誕生となったのですから、笑い事でもないんですけど。

食文化が「変わる」ということは、国民の精神性が変化すると私は強く確信しております。

上記は明治維新の頃の志士たちの写真と、1980年代の日本人の写真。顔つきがなんだか変わっている、と思いませんか？

ただし体格面で言いますと江戸時代の男性の平均身長は155cm、現代は167cmだそうでして、これは栄養が豊富なため、食生活が変わったため、ということで良いことではあるのでしょうけれども。

ここで知ってほしいのは、食物は有効な「戦略物資である」ということです。

そして「大衆食文化」とは、その国の国民に身体的、精神的な影響を「必ず与えるだろう」ということですが・・・これについては、もう少し詳しく話したいと思います。

例えばパン食の習慣が日本において根付かなかったら？というifを想像してみましょう。

マクドナルドやケンタッキーといったジャンクフードの代わりに、もしかしたら大衆向けの鮨が日本のファーストフードになっていたかもしれません。

もしそうだったとしたら、今の日本人とかなり趣、精神性、慣習、習慣の異なる日本が、そこにはあったんじゃないか？と考えるわけです。

(もっともifの話なので、論じてもしょうがない部分ではありますが(笑))

さて、先日コメント欄でくらえもん氏に情報を提供頂いた「タフツ大学の国連国際政策モデル」による試算によりますと、TPP批准で10年間で0.12%のGDP押し下げ、失業者は7.4万人増加という話になっておりまして、農業で言えば生産減少額は1兆円に及ぶそうです。

日本の農業の生産額がおおよそ8兆円だということですから、なんと12%以上の農業が「消滅する」という話です。

農業従事者数が現在186万人ほどですので、23万人以上の農業関係の失業者を生み出すわけですね。

軍事学的に言うと3割の損耗率で、一時的に戦力として数えられなくなる、全滅判定となるようでして、12%という数字が「かなり高いダメージである」ということが理解できるかと思います。

実際には和牛などの「価格帯の高いブランドモノ」も上記に含まれていることから、我々の口に入るもので考えると、もう少し率が高くなりそうです。

さて、冒頭の話に戻りまして考える時に、これは「アメリカの食料戦略」であることは間違いないと思うのですね。

TPPはアメリカのモンサントなどのグローバル企業に「我々日本人の胃袋」を売り渡す、そういった話なんじゃないでしょうか？

遺伝子組換えの作物、そして最近はフランケンフィッシュと呼ばれる遺伝子組み換え魚なども登場しているようです。

こういったものに「慣らされた」70年後の日本人は、戦後から現在よりもさらに「駄目な方向」に行くんじゃないか？

70年後にはもしかしたら、日本の大衆食文化はアメリカの貧困層の食事事情のように「殲滅」されてるんじゃないか？

そんな危機感からこの記事を書いてみました。

あとですね・・・・こういうことを書くと必ず「でも日本の農業は高齢化でやばくなってる！」的な反論があるんですけど、日本の農業向けの補助金というのは「先進国中最低のライン」なんですね。

つまり国がしっかりと補助金を出して、保護して「儲かりまっせ！農業！」とやれば、若い人たちだってやりたいと思うんですよ。

勿論ながら農地の取得や様々な機器の購入も、政府が補助するなり給付するなりしたらいいじゃないですか。

農業をするってーのは国土を作ると同義語なんですから、これも立派な「公共事業」だと思うのですがいかがでしょうか？

食文化と日本人とTPP