移民国家へ一直線 強引すぎる外国人労働者の受け入れ拡大 『月刊正論』2015年4月号
勤労世代の不足をどうカバーするのか。安倍政権が出した結論は、女性の活躍推進と外国人労働者による穴埋めだった。
とはいえ、男性中心の企業文化を改めなければならない女性の活躍推進は一朝一夕で実現できない。成長戦略の果実を急ぐ安倍政権は、まず外国人に活路を見出した。
しかし、その進め方は強引でさえある。外国人技能実習制度の趣旨をねじ曲げ、「単純労働者」の受け入れを実質的に解禁しようとしているのだ。
その象徴ともいうべき政策の大転換が、これまで原則認めてこなかった介護分野での単純労働者の大量受け入れを外国人技能実習制度に基づいて可能にするものだ。2月4日、厚生労働省の「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」の中間報告書に盛り込まれた。早ければ2016年度から受け入れが始まる。
技能実習制度は、日本で習得した技能を母国の経済発展のために役立ててもらうのが本来の目的だ。単純労働者に適用するのは明らかに趣旨を逸脱している。
政府は後ろめたさから「決して人手不足を補うものではない」と繰り返すが、こうした建前を信じる者はいない。それは厚労省の検討会の議論をみれば一目瞭然だ。
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